葬儀・法事の際に着物の喪服に合わせる黒い草履とバッグ。フォーマルな装いを完成させるためには、適切な選び方が重要です。
この記事では、喪服にふさわしい草履とバッグの基本マナーから選び方、履いた後のお手入れ方法や収納のおすすめまで詳しく解説します。マナーをしっかりと確認して心のこもる喪服スタイルを目指しましょう。

監修者
着付け師太田 明美(おおた あけみ)
着付け師・着付け講師・きものスタイリスト。美装流前結び着付講師。
2010年より着付け指導をスタートし、現在は「きもの永見」での指導を担当。美しさと快適さを両立した着付け指導で定評がある。
喪服に合わせる「草履バッグ」の基本マナー
喪服を着用する際、草履とバッグは重要なアイテムです。 着物の喪服だけでなく草履バッグまできちんと喪服用で整えることで、故人を偲び、遺族に敬意を表すための装いを完成させることができます。 基本マナーを理解し、適切な草履とバッグを選ぶことは、 弔いの場にふさわしい装いをする上で不可欠です。
素材、色、デザインなど、 細部にまで配慮することで、 洗練された喪服スタイルを実現できます。 弔いの場では、華美な装飾は避け、落ち着いた雰囲気でまとめることが大切です。 草履とバッグを選ぶ際には、 光沢のない素材や、シンプルなデザインを選ぶようにしましょう。また、バッグは袱紗や香典袋が入る程度の大きさのものを選ぶと便利です。 これらのマナーを守ることで、 故人への敬意と弔意を示すことができます。喪服に合わせる草履とバッグは、 装い全体を引き締め、 あなたの心遣いを表す大切な要素となるでしょう。
素材と色の選び方:光沢を避けた「黒」
喪服に合わせる草履とバッグの素材は、光沢のないものが基本です。 エナメルやラメ加工が施された素材は避け、 布製や皮革素材でもマットな質感のものを選びましょう。
色は洋装と同じく、黒を選びます。ただし、控えめな織り柄や地模様が入ったものでも構いません。 黒の色味を選ぶ際には、 光の反射を抑えた深みのある黒色を選ぶことが大切です。 また、金具が付いている場合は、できるだけ目立たないものを選びましょう。 素材と色の選択は、 全体の印象を大きく左右するため、 慎重に選ぶようにしましょう。 光沢のある素材は避け、落ち着いた黒色のものを選ぶことで、 弔いの場にふさわしい装いをすることができます。
デザイン:シンプルで控えめなものを
喪服に合わせる草履とバッグのデザインは、シンプルで控えめなものが適しています。 装飾が過剰なものや、派手なデザインは避けましょう。 大きなリボンやビジュー、刺繍などが付いている華美なものは、できるだけ避けるようにしましょう。
草履は、鼻緒と台ともに黒色のものを選びます。 バッグは、できる限り装飾のないシンプルなデザインのものがおすすめです。デザインを選ぶ際には、 全体のバランスを考慮し、 喪服との調和を大切にしましょう。 シンプルなデザインの草履とバッグは、年代を問わず長く愛用することができます。 また、控えめなデザインは、 故人を偲ぶ気持ちを表し、 遺族への敬意を示すことにもつながります。 デザインを選ぶ際には、華美な装飾は避け、 シンプルで控えめなものを選ぶようにしましょう。
バッグの形状:袱紗が入るサイズを
喪服に合わせるバッグの形状は、袱紗や香典袋が無理なく入るサイズが望ましいです。葬儀や法事の持ち物は、主に袱紗、ハンカチやティッシュ、お財布やスマホなど。あまりに小さすぎるバッグは必要なものを収納できず、 不便な思いをすることがあります。 一方大きすぎるバッグは、弔いの場にふさわしくないカジュアルな印象を与える可能性があります。もし一つのバッグに持ち物がおさまらない場合は、同じく黒いバッグをサブバッグとして持ってもOKです。
バッグの形状は、 ハンドバッグタイプや、 クラッチバッグタイプなどがありますが、どちらを選んでも構いません。 ただし、いずれの形状を選ぶ場合でも、 自立するものを選ぶと、 ご挨拶の時などバッグを置く際に便利です。 また、バッグの内側には、ポケットや仕切りがあると、 小物を整理しやすく便利です。
バッグを選ぶ際には、 袱紗や香典袋が入るサイズであること、 自立すること、内側にポケットや仕切りがあることを考慮しましょう。 これらの点を考慮することで、 弔いの場で必要なものをスムーズに取り出すことができ、スマートな印象を与えることができます。
喪服用「草履バッグ」の選び方
喪服に合わせる草履バッグを選ぶ際には、 いくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえることで、 弔いの場にふさわしい、 適切な装いをすることができます。
まず、素材や色、デザインは、 基本的なマナーを守ることが大切です。光沢のある素材や、派手なデザインは避け、 黒色のシンプルなものを選びましょう。 次に、草履の履き心地や、 バッグのサイズも考慮する必要があります。長時間履いても疲れない草履や、 必要なものを収納できるバッグを選びましょう。 また、価格も重要な要素です。 高価すぎるものは必要ありませんが、安すぎるものは品質に問題がある可能性があります。 相場価格を参考に、適切な価格帯のものを選びましょう。 これらのポイントを踏まえて、自分に合った草履バッグを選ぶことで、 弔いの場にふさわしい装いをすることができます。
草履・バッグともに上品で落ち着いたデザインを選ぶ
喪服に合わせる草履とバッグは、いずれも上品で落ち着いたデザインを選ぶことが重要です。 派手な装飾や、目立つデザインは避け、 シンプルで控えめなものを選びましょう。
草履は、鼻緒と台がともに黒色のものを選ぶのがマナーです。バッグは、装飾のないシンプルなデザインのものがおすすめなので、リボンやビジュー、刺繍などが付いているものは、 できるだけ避けるようにしましょう。
着物での喪服の落ち着いた装いを崩すことがないよう、草履とバッグがセットになったきちんとしたアイテムで臨むのがおすすめです。
途中で痛くならないよう草履のサイズ選びは慎重に
草履を選ぶ際には、 サイズ選びが非常に重要です。 サイズが合わない草履を履くと、 途中で足が痛くなり、 式典途中に難儀する可能性があります。
草履は、かかとが少し出るくらいが正しい履き方とされています。 また、鼻緒の締め付け具合も重要です。 鼻緒がキツすぎると、 足が痛くなる原因になります。 逆に、鼻緒が緩すぎると、歩きにくくなってしまいます。 実際に履いてみて、 鼻緒の締め付け具合を確認するようにしましょう。
サイズ選びに不安がある場合は、専門の店員に相談することをおすすめします。 適切なサイズの草履を選ぶことで、 長時間履いても疲れにくく、 快適に過ごすことができます。
相場価格より極端に安い商品は避ける
喪服用の草履バッグを選ぶ際には、 価格も重要な要素です。 相場価格よりも極端に安い商品は、 品質に問題がある可能性があります。 安価な商品は、素材や縫製が粗悪な場合があり、 耐久性に問題があることがあります。また、履き心地や使い心地も、 劣る可能性があります。 喪服は、長く愛用するものですので、草履バッグもある程度の品質を確保することが大切です。 相場価格を参考に、 適切な価格帯の商品を選びましょう。
喪服用草履バッグセットの相場価格は約12,000~25,000円。価格だけでなく、 素材やデザイン、信頼おけるお店であるかなども考慮して、総合的に判断して購入することが大切です。 適切な価格帯の商品を選ぶことで、 品質の良い草履バッグを手に入れることができ、 長く愛用することができます。

着付け師 太田 明美(おおた あけみ)
喪服用草履バッグは、安心なお品を1セット持っておけば長く大切に使用できます。年代を問わず使用できるベーシックなデザインがおすすめです。
きもの永見おすすめ・喪服用草履バッグセット
きもの永見おすすめの「喪服用草履バッグセット」です。
葬儀や法事の際に着物の喪服と合わせるやめの喪服用草履とバッグのセット。光沢をおさえた上品なデザインは、年代を問わず長くご愛用いただけます。
バッグは和装にも洋装にも使えるデザインです。袱紗や香典袋が無理なく入るサイズで、 使いやすさを考慮しています。光沢のない素材を使用し、 シンプルなデザインで、 弔いの場にふさわしい装いを演出します。長く大切に使用いただける間違いのない商品です。
草履バッグ|履いた後のお手入れ方法
草履とバッグは、 履いた後のお手入れが大切です。適切にお手入れをすることで、 長く美しい状態を保つことができます。 草履は、 汚れを落とし、 風通しの良い場所で陰干ししましょう。 バッグは、柔らかい布で優しく拭き、 湿気を避けて保管しましょう。 特に、雨の日に履いた場合は、 早めにお手入れをすることが大切です。 雨水が染み込んだまま放置すると、シミやカビの原因になることがあります。
定期的にお手入れをすることで、 草履とバッグを長く愛用することができます。 大切に保管し、次の機会にも気持ちよく使えるようにしましょう。
履いた後のお手入れ
草履を履いた後は、 まず、表面についた汚れを柔らかい布で優しく拭き取ります。泥やホコリが付着している場合は、 乾いた布で拭き取りましょう。 強くこすると、 素材を傷める原因になるので注意が必要です。
次に、風通しの良い場所で陰干しします。 直射日光に当てると、 変色や劣化の原因になるので避けましょう。 完全に乾いたら、 保管する前に、もう一度柔らかい布で乾拭きします。 バッグも同様に、 表面の汚れを柔らかい布で優しく拭き取ります。 汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた液を布に含ませて拭き取ります。 その後、水で濡らした布を固く絞って拭き取り、 風通しの良い場所で陰干しします。 完全に乾いたら、 保管する前に、もう一度柔らかい布で乾拭きします。
おすすめの収納方法
草履とバッグを保管する際には、 湿気を避けることが重要です。 湿気の多い場所に保管すると、カビが発生する原因になります。 草履は、 購入時の箱に入れるか、 通気性の良い布袋に入れて保管しましょう。湿気や紫外線などによる経年劣化が心配な方は、「和小物プロガード」という収納袋に入れて保管することをおすすめします。機能性フィルムを採用しており、長期間の保存も安心です。
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バッグは、 型崩れを防ぐために、中に詰め物をして保管するのがおすすめです。 新聞紙やタオルなどを詰めると良いでしょう。 また、草履とバッグを一緒に保管する場合は、 お互いが擦れないように、間に布などを挟むようにしましょう。 保管場所は、 直射日光が当たらず、 湿気の少ない場所を選びましょう。 定期的に、 保管場所の換気をすることも大切です。これらの点に注意して保管することで、 草履とバッグを長く美しい状態で保つことができます。
雨の日に履いた際の注意点
雨の日に草履を履いた場合は、 特に入念なお手入れが必要です。まず、 できるだけ早く、 表面についた雨水を拭き取ります。 吸水性の高い布で、 優しく押さえるように拭き取りましょう。 次に、 風通しの良い場所で陰干しします。直射日光は避け、 風通しの良い場所で自然乾燥させましょう。 台と鼻緒が完全に乾いてから収納します。
バッグも同様に、 雨に濡れた場合は、 できるだけ早く拭き取り、 陰干ししましょう。 雨の日は、 できるだけ草履バッグの使用を避けるのが理想的ですが、葬儀や法事でやむを得ず使用する場合は、 上記のお手入れ方法を参考に、 丁寧にお手入れをしましょう。
まとめ:マナーを守り心に残る装いを
喪服に合わせる草履とバッグは、 故人を偲び、遺族に敬意を表すための大切な装いです。 素材や色、デザインなど、 基本的なマナーを守ることはもちろん、 履き心地や使いやすさも考慮して、自分に合ったものを選ぶことが大切です。 適切な草履とバッグを選ぶことで、 洗練された喪服スタイルを実現し、 弔いの場にふさわしい装いをすることができます。また、履いた後のお手入れも忘れずに行い、 長く愛用できるように心がけましょう。
マナーを守り、 心に残る装いをすることで、 故人への追悼の気持ちを表し、遺族への心遣いを示すことができます。 弔いの場では、 控えめながらも、 品格のある装いを心がけましょう。 それが、故人への一番の供養となるでしょう。

記事制作
きもの永見コンテンツ制作チーム
天保3年(1832年)創業、老舗呉服店「きもの永見」。190年を超える歴史の中で培った着物への深い知識と、現代の感性を融合させた情報発信を行っています。
現代のライフスタイルに合わせた楽しみ方を提案。「着てみたい」「知りたい」という気持ちに寄り添い、着物の世界への入口となる記事をお届けします。



着付け師 太田 明美(おおた あけみ)
着物の喪服時の装いは機会が少ないだけに、マナーが心配な方は多いもの。基本的なルールをおさえることで、安心して参列できます。